これは、私が恋人に言われてはっとさせられたお話。
先日、恋人とレストランで夕食をとった。
水を注文すると、500mlのペットボトルが2本運ばれてきた。
彼と私と、それぞれが500mlを飲み干せる自信はなかったので、まずはふたりで1本を空けることにした。
余った分は持ち帰ればいい。
予想通り、私たちは2本目に手をつけることなく食事を終えた。
翌日、私は水を持ち帰り忘れたことに気づいた。
「ねえねえ、昨日の水持って帰った?」
「ううん。」
にわかに慌てる私に対し、彼は平然とした様子でキッチンのカウンター越しに答える。
「わー、もったいないことした。」
「別にいいんじゃない?」
「えー、でもお金払ったんだよ。」
こういうとき、私は良く言えば倹約家、悪く言えばケチだと自分のことを思う。
なおも食い下がる私に、彼はこう言った。
「そんなこと気にしてたら、幸せが逃げちゃうよ?」
「たしかに、、、!」
私にはそれ以上返す言葉が見つからなかった。
大げさかもしれないけれど、この人の人生哲学に触れたような気がした。
彼はそこでこそっと付け足した。
「『ため息をつくと幸せが逃げちゃう』みたいに。」
どうやら元ネタがあったようだ。
でも、たった今自分が考えた名言にまんざらでもなさそうだ。
こんな風に、恋人は私にはない価値観を持っていて、ときどきはっとさせられることがある。
そして同時に、ちょっと可愛い人でもあるのだった。
コメントを残す